2023年2月24日 17:00
28歳の若きTVマンは、なぜ“日の丸”をめぐるドキュメンタリー映画を蘇らせたのか?
今から50年以上前で、当然ながらまだ20代の佐井監督が生まれるよりもはるか前の番組になる。このドキュメンタリー番組にはTBSの新人研修で出合ったという。
「この番組の存在は是枝(裕和)監督が著書で触れていて、知っていました。ただ見る機会を得たのは新人研修のときでした。
印象はひと言、衝撃で。こんな尋常ではない街頭インタビューをまとめた、呪いのビデオのような、視聴者の気分を害する映像をよく当時のお茶の間に流したなと思いました。
今僕はドラマ制作部に所属していますけど、番組を作る上で、何に一番重きを置いているかというと、いかに視聴者の方に気持ちよく楽しんでいただけるか。視聴者の方にいかに興味をもっていただいて、作品世界に入っていただけるかを第一に考えています。
でも、『日の丸』がやっていることは反対のことで。視聴者の方が不愉快になる、あるいは怒り出すようなことを敢えてしている。これが当時のテレビでは許されていたのかと思いました。成熟しきってしまって、新たな可能性を切り拓くようなチャレンジができなくなっている現在のテレビとは大違い。テレビにこんな自由な時代があったことに衝撃を覚えました」