何のために映画祭はある? 「東京フィルメックス」ディレクターが語る
それに2回目からはNPO法人として映画祭事務局が独立したんですね。だからオフィス北野からの支援が途絶えることも、頭のどこかでは考えてはいたのかもしれません」
その後、映画祭は第18回までオフィス北野の、それ以降は別会社のサポートも受けながら続いている。「映画祭というのはそれで収入があるわけではないですし、広告価値があるかというとそんなにあるわけではない。だから、映画祭を続けていればスポンサーがつくかというとそんなことはないんですね。日本の企業は文化事業というよりは宣伝のためにお金を出しますから“これでどれだけ露出するの?”という話になりますし“これで何人が集まるの?”となる。そう考えると映画祭は厳しい。大規模なコンサートや美術館で数か月の展示をするとたくさん人が集まりますけど、映画祭は1週間ちょっとしかできないし、権利料があまりがあまり発生しないショートフィルムの映画祭なら全国を巡回できると思うんですけど、長編映画は東京で1回上映するだけでも調整が発生するので地方を巡回するのは難しいんです」
だからこそ映画祭や美術展の助成金、公的資金をめぐる昨今のニュースは、どの映画祭にとってもシリアスな問題だ。