何のために映画祭はある? 「東京フィルメックス」ディレクターが語る
資金の問題、作品のセレクションの問題……映画祭の継続はやさしいことではない。さらにフィルメックスは観客と映画作家、評論家、映画祭のプログラマーが“同じ会場、同じロビー”に集まることにこだわってきた。会期中には若い映画作家を集めたワークショップ“タレンツ・トーキョー”が開催され、参加した若い映画作家が新作をフィルメックスで上映する流れもできつつある。
「映画祭は“人が出会う場所”だと思うんですね。昔は映画祭に行かないと観られない映画があったんですけど、いまはネット配信もあって観る機会は増えている。だから“人が出会えること”を第一に考えてきたのが釜山映画祭だと思うんです。釜山映画祭がなぜアジアでナンバー1の映画祭になっているかというと、創設した時から“人を集めること”を考えていて、世界の映画祭のプログラマーを招待して、企画マーケットを始めて、ワークショップも始める。すると、映画祭に出品している映画作家に加え、映画を選んでいる人、これから映画をつくろうとしている人、さらに未来の映画作家が同じ場所に集まる。
自分でも海外の映画祭に行くのは、そこに行けば会える人がいるから。だから、ただ上映して賞を発表して終わり……という映画祭の意義はだんだん薄れてきていると思います。