何のために映画祭はある? 「東京フィルメックス」ディレクターが語る
たくさん人が集まることで結果として良い作品が集まって、お客さんも楽しめる……そういう循環ができるといいんですよね」
だから今年もフィルメックスはゲストを招き、VR作品を上映するなど新企画を投入。さらに新しい映画人、新しい観客と出会おうとしている。
「今年はVR作品は手探りで1作品(イスラエル映画『戦場の讃歌』)だけの上映なんですけど、今後も拡大できないのか検討したいと思っています。今年は意識的に海外の映画祭でVR作品を観たんですけど、面白いものが多いですし、今後は普通の劇映画との垣根はだんだんなくなってくると思います。実験的な作品もゲーム的なものもありますけど、VRの監督が劇映画を撮ることも増えるだろうし、(アレハンドロ・ゴンサレス・)イニャリトゥみたいに劇映画でVRを撮る人はすでに出てきている。今回は20回目なので過去の作品を3本上映するんですけど、過去の栄光みたいなものは置いておいて(笑)、むしろ新しい展開を考えたいんです。だから過去に上映したことのない監督であっても素晴らしい作品なら上映したいですし、過去の監督の特集みたいなことにはしたくなかった。今後もこれまでフィルメックスを知らなかった若い人や、会場には簡単に来れない地方の人にも映画祭を知ってもらって、会場に来てもらえる方法がないか考えようと思っています」