『けむりの軍団』上演中の新感線・いのうえひでのりを直撃
と『走れメロス』を足したような話がいいなっていうオーダーだけ。『レッツゴー!忍法帖』(2003年)も一応『隠し砦〜』がベースで、それにしては今回とは全然違うけど(笑)、黒澤映画っぽいものは前からちょっとやってみたかったんです。『走れメロス』を加えたのは、タイムリミットがある方が面白いから」
自由度の高いお題に応えた脚本は、『隠し砦〜』をメインに、『用心棒』『椿三十郎』など黒澤映画への新感線流オマージュが詰まった作品に。それを視覚化するいのうえも“映画っぽい”にこだわり、ユニークなアプローチを試みた。
「場面場面が映画のひとコマというか、スクリーンの中で全部行われているようなイメージ。最初スクリーンに映画会社のシンボル的なものがバーンと映し出されて、“終”で締める、みたいな。場面転換の多い脚本で、転換にも割り切ってスクリーン(の映像)を使っています。今までは紗幕を使ったりどこか演劇的な手法を用いていたので珍しいんです、本当に。
“悪人”とかキャプションが付いた各人物紹介の映像は『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』なんかのイメージ。音楽も黒澤映画はもちろん、黒澤に影響を受けたジョン・スタージェスの西部劇っぽいと思います。