2021年4月14日 14:00
すべての人にとってバリアフリー目指す 3カ国が共同した舞台『テンペスト~はじめて海を泳ぐには~』中止乗り越え上演へ
しかしオンラインによるワークショップは継続され今回の上演に至る。総合演出を務めるジェニーは英国からオンラインで日本人アーティストに演出を行い、英国、バングラデシュの役者は映像によって出演。このプロジェクトが目指す「表現する側にとっても鑑賞する側にとってもバリアフリーな作品の創造」は新しい表現領域の挑戦とも言える。
それに伴うクリエイティブな形での手話や音声描写の導入に注目したい。さらに耳の聞こえない人、聞こえにくい人に向けた字幕の投影、劇場案内時からの手話・筆談等での対応が準備され、目の見えない人や見えにくい人へ向けては上演前に舞台セットなどを説明する音声ガイドと東池袋駅から劇場までの送迎も行われるもようだ。
また日本人演出家として選ばれた大橋ひろえは、第7回「読売演劇大賞優秀女優賞」を受賞するなど女優として活躍しているが、本プロジェクトで演出家としてのキャリアを本格化。もうひとりの演出家・岡康史は、静岡を拠点に自信も障がいを持ちながら劇団を主宰し活動している演劇人である。キャストとしてはミュージカル『テニスの王子様』初演時に、主役・越前リョーマ役でデビューした柳浩太郎をはじめ、ワークショップで選ばれた日本人4人、英国人3人、バングラデシュ人ふたりの3カ国の障がいを持つアーティスト、そして新たに聴覚障がいのある母親に育てられたコーダの女優・吉冨さくらが出演。