「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2022/23」より『シンデレラ』が6月16日(金) より1週間限定で全国公開される。
巨匠フレデリック・アシュトン振付の『シンデレラ』が初演されたのは1948年、ロイヤル・バレエの前身であるサドラーズ・ウェルズ・バレエ団にて。それは、アシュトンがロイヤル・バレエのために振り付けた初めての全幕作品だった。今回、初演から75周年を記念し、およそ10年ぶりに待望のリバイバル上演となる『シンデレラ』は、舞台装置や衣装も一新されての新プロダクションとなっている。
ロイヤル・バレエのフレデリック・アシュトン版の魅力について、舞踊評論家・森菜穂美は「義理の姉妹を男性ダンサーが女装してユーモラスに演じることによって、滑稽さとともに、シンデレラに対する意地の悪さがあまり深刻なものではなく、誰も悪い人が登場しないという作品の温かさを象徴させている」と分析。続けて、「美しく変身したシンデレラが舞踏会に入場するところの、ガラスの靴のトウシューズでつま先立ちのまま一歩一歩階段を下りていく場面の繊細さと初々しい緊張感を見せるところは、本作屈指の名場面。プロコフィエフの少しダークだが煌めくような華麗な旋律の音楽も印象的でドラマを盛り上げる」