一度舞台から引っこんでも、また次の場所に急いで向かわなければいけない。僕らはその後に大きな出番が控えているので、舞台袖でウォーミングアップしながら、『これから始まるな』と思って見ているんです。
撮影:瀬戸秀美
──それに続くのが、こんぺい糖の精になったクララと王子によるグラン・パ・ド・ドゥと呼ばれる踊りですね。主役ふたりの踊りに、それぞれのヴァリエーション(ソロ)を含む、古典バレエならではの華やかな場面ですが、その見どころ、魅力を教えてください。
渡邊「花のワルツ」で完全に盛り上がったところから、急に静かになり、荘厳な雰囲気で始まるんです。これは主役が出てくるな、という感じになると思います(笑)。ただし、僕らダンサーにとっては大変な踊りで、それまでに踊られるパ・ド・ドゥとの差をしっかりと見せて踊っていく必要があります。というのも、第1幕、第2幕冒頭に登場するパ・ド・ドゥとでは、踊りの質が全く違い、まさにクラシックの王道の踊りなのです。
木村アカデミックな踊りということですね。より制約が多い踊りだからこそ、美しさがあるのではないかと思います。
渡邊派手なテクニックではないけれど、ちょっとした身体のひねりとか、脚を上げるにしても目一杯高くではなく、ちょっと抑えた高さで上げるからこその美しさ、ですね。