【インタビュー】ヴィム・ヴェンダースはなぜロードムービーを撮ったのか──「世界文化賞」受賞
と、振り返る。ただ、思い直したという。
「トイレは、建築におけるひとつの傑作だと思いました。トイレを誤解していたと。我々は非常に長い時間を、そこで過ごします。我々はきちんと評価してこなかった。そういう意味ではドキュメンタリーではなく、映画にすべきだと思ったんです。ドイツに戻ったら、自宅のトイレを日本製に変えようと思います。
皆さんは日々使っていますから、私がなぜそう思うか、わかってくれますよね」
「日本は第二の故郷」と語り、来日回数は50回か100回ぐらいか、途中で数えるのをやめたほどの親日家は、トイレについても日本のものが気に入ったようだ。
各部門の受賞者とともに合同記者会見に臨むヴェンダース監督
文・撮影:堀晃和
【高松宮殿下記念世界文化賞】
1988年に創設され、毎年、文化芸術の発展に大きく寄与した芸術家を対象に、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の5部門で選ばれる。演劇・映像部門の受賞者には、第1回のマルセル・カルネ(1989年)以来、フェデリコ・フェリーニ(90年)、イングマール・ベルイマン(91年)、黒澤明(92年)、アンジェイ・ワイダ(96年)、アッバス・キアロスタミ(2004年)