2021年7月19日 18:00
「これはもはやコンサートではない」『ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート』観劇レポート
ロンドンの『オペラ座の怪人』25周年記念公演で主役ファントムを演じるなど、名実ともに世界トップクラスの人気スターが、ジーザスを愛しながらも裏切る難役を今回も深みのある歌声と熱いパッションで魅せた。ラミンとマイケルの相性も良く、お互いぶつけ合う感情のボールがどんどん膨らんでいき、物語が進むにつれ熱が高まっていくのがわかる。
マグダラのマリア役:セリンダ・シューンマッカー撮影:渡部孝弘
ほか、ウエストエンドの『レ・ミゼラブル』ファンテーヌ役などで知られるセリンダ・シューンマッカーがマグダラのマリア役、ブロードウェイの『アラジン』でタイトルロールを務めるテリー・リアンがペテロ役、アンナス役はブロードウェイでも同役を務めたアーロン・ウォルポールと、世界のミュージカルファンが羨む贅沢なキャストが、さすがの実力で魅了していく。中でもロベール・マリアン(モントリオール、パリ、ウエストエンド、ブロードウェイの4都市で『レ・ミゼラブル』ジャン・バルジャンを演じる名優である)は、ジーザスに罪がないと思いつつも群衆の声に押され彼の磔刑を宣告するピラト役。怒りにも似た悔恨と無力感を全身から漂わせる、圧巻の演技と歌唱だった。