2023年11月2日 16:00
1943年を生きた、アメリカの青年たちの青春コメディ『ビロクシー・ブルース』稽古場レポート
正面には列車の座席、その奥には上段のみの2段ベッドと、仮組みされたセットがある。だらっとした体勢で寝ているカーニー(松田凌)、セルリッジ(鳥越裕貴)、ワイコフスキ(大山真志)、すぐには気づかないが実は2段ベッドで寝ているエプスタイン(宮崎秋人)。そして主人公であるユージン(濱田龍臣)はきちんと座り、ノートに何かを書いている。この舞台は、そんな場面から始まる。
時は1943年、第二次世界大戦で多くの若者が戦場に送られていた時代。彼らも軍に召集され、訓練を受けるためにアメリカの南部にあるミシシッピー州ビロクシーに向かっているところ。こうして訓練の間ビロクシーで過ごすことになった青年たちの物語が、『ビロクシー・ブルース』だ。
稽古場を訪れた日は、初めて全場面を通した稽古が行われていた。
稽古開始から約3週間を経て、役柄もかなり立ち上がっているように感じる。ユージンたちは、兵士とはいっても入隊したばかり、しかも18歳から20歳のいたって普通の男子たち。歌声がうるさい、おならが臭い、と文句タラタラでしょうもないやりとりが繰り広げられる。そのやりとりを引っ張っているのは、小柄なセルリッジと大柄なワイコフスキ。