杉咲花主演『朽ちないサクラ』──たどり着いたのは深い闇、それに抗うように咲く桜。【おとなの映画ガイド】
特に、公安は秘密主義が徹底していて、闇の部分が多い、謎めいた存在だ。
ドラマは、泉を中心に、4人のメインキャラクターで展開していく。
まず、上司の富樫課長(安田顕)、53歳。もともと公安で活躍していたが、カルト宗教にからむ事件の捜査ミスが原因で、配置転換させられたという設定だ。いまは広報課だから、たいていの部署に顔がきく。クールな、人間観察に長けた、勘の鋭い上司である。
捜査一課の刑事・梶山(豊原功補)、53歳。富樫課長とは同期だ。殺人事件の捜査にあたっている。いかにも武闘派風で、「事務職のお嬢ちゃん」とか、「てめぇの職場で事務だけしてろ」と言いはなつパワハラ、セクハラ寸前のキャラだが、その男気が、感動的。
そしてもうひとり、不祥事を起こした部署に所属している、泉のことが好きな磯川俊一、25歳。泉の捜査に協力する、いわばバディ的存在。ドラマ『美しい彼』などで人気に火がついた萩原利久が、初めての刑事役を演じ、自然とこの映画の進行役にもなっている。
そんな名演のなかで、杉咲花はやっぱり、インパクトを放つ。
一途で芯のある役を演じたら、いま若手でダントツの女優といっていい。