新国立劇場「デカローグ」全十篇に出演中。亀田佳明が明かす、“ある余白の存在”への思い
ただ、普段は台詞に追われ、近視眼的になってしまうところがあるんですが、今回は劇空間で行われていることや、客席の空気感をよりビビッドに受け取っているかもしれません。あの役の存在自体が「見つめている」、ということが強くあるからかもしれない。それは、今回この企画でこの役で入ったことによる大きな発見だったかもしれないです。俳優として、すごく面白い経験をしていると思います。
──物語も周りの出演者の方々もその都度変わり、さまざまな雰囲気の現場を体験されてきたと思います。
僕は家にある漬物石みたいにずーっと劇場にいます(笑)。ただ、稽古場は小川さんの稽古場、上村さんの稽古場と2班あって、それぞれへの参加はどうしても数日おきになってしまうので、馴染むまで少し時間がかかってしまう。まるで転校生みたいで、毎回ドキドキしています。
──本プロジェクトの“最終章”となるデカローグ7〜10では、どのような物語が展開されるのでしょうか。
作品のテイストがずいぶん変わっていきます。人の苦しみや葛藤を直接的に描きながら、それゆえに生まれる滑稽さ、「人間ってこんなんなっちゃうの?」「でも、それも人間だよね」