「オペラの至福が確実にある」ローマ歌劇場2023年引っ越し公演9月26日まで
歌手が持っていない力を役者は持っている。だから我々は常に演じているんです」
実際に彼の舞台を観れば、それを心底理解できる。その歌と演技のリアルで熱いこと!深いこと!「トスカ」は1800年6月のローマが舞台の物語だが、グリゴーロ扮する画家カヴァラドッシは、身を焦がすようなトスカとの愛に生き、自由のために戦う情熱の男そのものになるのだ!しかもグリゴーロにとって「トスカ」は少年の時、オペラの初舞台を踏んだ作品で(この時、あのパヴァロッティと共演!)、なおかつ初めてカヴァラドッシを歌った時のトスカ役は、今回と同じヨンチェヴァとくれば「このオペラは僕の宝物」と言う言葉も頷ける。
かくして最高級のアーティスト達が満を持して臨む傑作オペラの舞台。そこにはオペラの至福が確実にある。
取材・文:朝岡聡
プロフィール
朝岡聡(あさおか・さとし)
フリーアナウンサー、コンサートソムリエ。テレビ朝日時代は「ニュースステーション」やスポーツ中継を担当。フリーになってからはTV・ラジオ・CMに加え、クラシックやオペラのコンサートの企画・司会にもフィールドを広げて活動中。
特にバロックからベルカントのオペラフリーク。