2021年6月9日 07:00
「才能以上の“何か”が北斎にあった」柳楽優弥と田中泯が語る映画『HOKUSAI』
を手にして雨の中を踊るあのシーンは、現場で拍手が起きたと聞きました。僕も大好きなシーンで、とても印象的でした。
田中一回しかできない一発勝負でしたんで(笑)。
柳楽北斎とベロ藍の出会いの衝撃が感じられてすごく好きでした。
田中あれくらい狂乱するほど、本人の中に見たい“色”というのがあったんだと思うんですね。実際、高価な「藍」をあんなにふうに使えないのは言わずもがなだけれど、それを見たときの本人の心の動きを監督が「こうやってほしい」と言ってくれて、思い切って挑んでみた。
――それぞれに若い頃と老年期の北斎を演じられて、新たに見えてきた北斎の魅力について教えてください。
柳楽反骨精神だけではなく、何よりも絵を描くことが大好きなのだと思います。
自分自身に満足せず、向き合い続けられるものがあることで人生はとても豊かになるものなのだということを感じました。それは僕だけでなく今の時代を生きる多くの人が共感することのできるテーマであると感じました。
田中僕は撮影のプロセスでもそうだったし、改めて北斎の仕事を眺めてみても感じたことだけど、やっぱりそれまでの絵画を含め、決定的にバサーッと縦断したものを持っている。