修復によりキューピッドが現れた《窓辺で手紙を読む女》は見逃せない! 『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』東京都美術館にて開幕
では、17世紀オランダで人気のジャンルだった風景画を展示する。オランダより先に風景画が成立していた南部フランドル地方では、風景画は理想に基づいた架空世界であることが多いが、一方、オランダの画家たちが描く風景画は、特に1630年代以降においては、自分たちの身近にある自然をモチーフとした。画家たちは自らが見た体験に基づいた風景画の制作に勤しんでいた。
「オランダの風景画」展示風景より手前:ヤーコブ・ファン・ライスダール《牡鹿狩り》1665-70年ドレスデン国立古典絵画館蔵
最終章となる「聖書の登場人物と市井の人々」では、17世紀オランダで描かれていた歴史画を取り上げる。あらゆる絵画ジャンルの頂点とされていた歴史画と風景画、風俗画はそれぞれに影響を与えあっていたようだ。
左:ヤン・ステーン《カナの婚礼》1674-78年 右:ヤン・ステーン《ハガルの追放》1655-57年 いずれもドレスデン国立古典絵画館蔵
修復されたフェルメールの名作とともに、17世紀のオランダ絵画の良品をたっぷりと鑑賞することができる展覧会。この機会を逃さないようにしよう。
取材・文:浦島茂世
【開催概要】
『ドレスデン国立古典絵画館所蔵フェルメールと17世紀オランダ絵画展』
2月10日(木)