HYDE、抗うことを選んだソロ活動20周年ツアーの幕開け 『ANTI WIRE』初日公演レポート
このコントラストも非常にライヴで映える。あらいざらい吐き出してしまえば、ラクになる道を音楽で示してくれた。さらには『ROENTGEN』から再びシングル曲を披露したのには驚いた。心を掴んで離さない旋律は、とても美しく、いまだからこそ、その温もりあふれた歌詞に心がぎゅっと締め付けられた。
その後もツアー初日を盛り上げるナンバーで彩り、声を張り上げて高らかに歌われた初期の代表曲も、斬新なピアノの連打、圧巻のアレンジで息を吹き返す。こんな時期ならではの音楽が多々あったが、ソロをスタートさせた当時の初期衝動のような躍進力が、前へ、前へとひしひしと伝わってくる。「楽しいね」と、ライヴを噛み締めながら進む中で、L’Arc~en~Cielの曲「I’m so happy」を優しく歌った。「やっぱりファンがいないと。
来年はラルクも30周年ですけど、みんながいなかったらとっくに解散してると思うし(笑)。みんなが僕たちの点滴みたいなものですよ」と、あらゆる反対を押し切って会場に辿り着いたであろうファンをねぎらいながら、喜び、そして感謝を伝えた。この日のライヴでも幾度となく感じたが、この温かさこそが彼の持つ人を惹きつける力なのかもしれない。