HYDE、抗うことを選んだソロ活動20周年ツアーの幕開け 『ANTI WIRE』初日公演レポート
などが最新アルバムの楽曲に並ぶ。
しかし、これらをバンド名や固有名詞でラベリングするのは辞めて、すベて取っ払いたい。それほどにアレンジも、ライヴもひとつの作品として際立っていたのだ。新進気鋭の大ベテランは、「静けさ」も「激しさ」もすべてをステージの中へと共存させてしまうから、アーティスティックだ。
ここだけのアレンジでドロップした最新シングル曲「DEFEAT」の次第に大きくなるハンドクラップや息を飲むセッションに鳥肌が立つ。「やってる方もスリリングでね」さらには「アガるわ!」と、声は出せずとも重低音のダークでヘヴィなサウンドアタックが、一直線に観る者の胸をたぎらせた。ギアは好調、その熱量に目を奪われる。
そんな中、序盤でもっとも心に焼き付いたのは、「HORIZON」だった。
HYDEのリアルな感情が込められた当時のエピソード。「この時は凄く辛いことがあって、それについては未だに笑った事もないし、笑うまで時間がかかったけど、17年経って時が解決してくれますね。今は笑えるかもしれない」そうやんわり話すと、うつむきながらもこぼした表情には僅かながらの笑顔が浮かんでいた。歌とはなにも背中を押すためにあるわけではない。