2022年5月29日 10:00
守田悠人監督が作品に込めた思いとは? 「PFFアワード2020」審査員特別賞『頭痛が痛い』オフィシャルインタビュー公開
例えば、自分のしんどさを伝えたい時に「今、頭痛が痛くてしんどいんだよ」と言っても、「『頭痛が痛い』って言葉の使い方が間違っている」と言われて、まともに取り合ってもらえない。でも、こっちとしては今の自分のしんどさを他の言葉で形容できない、「頭痛が痛い」としか言えない、という、他人とのわかりあえなさや矛盾した痛みを含んだタイトルがいいなと思ったんです。
――いくと鳴海がさっきまでいたのに、次の瞬間いなくなっているというシーンがあって、命の儚さなどを感じましたが込めた想いはありますか。
ジャンプカットはラスト手前の、屋上に立つ誰かの足が不意に消えるというシーンにもリンクさせています。雑踏のなかでさっきまでそこに居た誰かが不意に消えていても認識できないのと同じように、人がこの世から消えてゆくことを認識できないですし、そのスピード感についていけない、処理が追いつかない、という感覚で使いました。
――いくの家のシーンがなかったりと、いくの境遇の描写が省かれている理由を教えてください。
「誰でも抱えうる憂鬱を持っている子」という風にしたく、原因を描いてそれと紐付けたくなかったというのが一番の理由ですね。