又吉直樹とモトーラ世理奈が醸し出す、椅子をめぐる「ありきたりじゃない世界」【WOWOWオリジナルドラマ 椅子】
全部が説明的に進んでいかないのも面白いです。
──「説明的に進んでいかない」とは?
又吉役者さんによっては「今絶対にこういう感情なんだろうな」って、観ている側に考える余地を与えない方もいらっしゃるじゃないですか。
それはそれで素晴らしいと思いますが、「こう思ってるかもしれないし、こうかもしれない」と思わせるような、感情がブレンドされている感じの役者さんもすごく面白いと思うんです。モトーラさんの場合、それがすごく強いのかなあと思いました。
座るだけではない、いろんな情報や物語がある“椅子”という存在
──又吉さんは無類の椅子好きとのことですが、『海へ』ではチャールズ&レイ・イームズの“ラ シェーズ”を取り上げていますね。
又吉60脚ぐらいの候補の中から「すごくかっこいい椅子だな」と思って取り上げましたが、ラ シェーズって物語を書くのが難しいんです。
本来は部屋に置けない……まあ置けるんですけど(笑)、デザイン性が高いうえに、大きくて高額なラ シェーズを置ける人物って限られてきますよね。
「デザイン系の事務所とかだったら置けるのかなあ?」とかって考えましたが、それだとラ シェーズをラ シェーズとして扱いすぎている印象があったんです。