マンションの騒音問題(生活トラブル)について教えて! イケメン弁護士が答えます
■隣に引越してきた人の「いびき」がとにかくうるさくて困っています。しかも、その人は早寝遅起き、土日のほとんども寝て過ごしているようなので、常に「いびき」を聞かされている状態です。テレビなどの騒音とは違うので管理会社にも言えません。でも、自分ばかりが我慢して、当の本人が何も気付いていないことが腹立たしくて仕方ないです。(ケロののろけ)
■ベランダに布団を干して、布団をバンバン叩く住人がいます。ベランダに布団を干すことはマンションの景観を崩すので禁止とされていますが、その住人は管理人のいない時間帯を狙って布団叩きをします。
注意しても止めないと思いますが、どうしたらいいのでしょうか?(チョビ)
読者の皆さんのなかにも騒音問題に悩まされている人は多いのではないでしょうか。私自身も隣の部屋の人の鼻をかむ音、夜中に騒いでいる声などに何度も悩まされてきました。
さて、法律上、わざともしくは不注意によって、人に損害を与えた場合、損害賠償責任を負わなければなりません。そのため、騒音によって精神的な苦痛等が生じた場合、損害賠償をすることができる場合もあります。また、通常、賃貸借契約書には、「他の入居者に迷惑を及ぼす行為をした場合には、賃貸借契約を解除する」との文言があると思います。そのため、騒音によって他の住民に迷惑をかけ、大家さんなどに何度も注意されたにもかかわらず、何ら改善しない場合には、賃貸借契約を解除される可能性があります。
ただ、ちょっとうるさかっただけで損害賠償を請求されたり、賃貸借契約を解除されたりしたら、安心して生活することができませんよね。マンションなどは多数の人が入居し、共同生活をしている以上、ある程度の生活音は仕方がありませんし…。
そこで、ちょっと難しい法律用語で、「受忍限度」といいますが、「この程度の音までなら我慢しましょうよ」というラインが決められているのです。
では、どの程度の騒音まで我慢すればいいのかというと、法律や国で定められている環境基準では、2車線以上の車線を有する道路に面していない住宅地では、昼間(午前6時から午後10時まで)は55デシベル以下、つまり小声の会話程度の大きさ、夜間(午後10時から翌日の午前6時まで)は45デシベル以下、つまり小雨の音程度の大きさなら、我慢すべき「受忍限度」とされています。逆に言えば、この数値を超えるような大きさの音は『騒音』というわけです。
では、今回のご相談の場合について考えていきましょう。
まず、テレビの音や、大工のような音が夜中も続いて睡眠を妨害されるという相談ですね。大工のような音は、「小雨の音程度」とはいえませんね。そのため、騒音が続き、睡眠障害等になった場合は、損害賠償を請求することもできますし、大家さんに対して「他の入居者に迷惑を及ぼす行為」として賃貸借契約の解除をお願いすることもできると思います。
次に「いびき」の問題ですが、このケースはなかなか難しいと思います。
いびきは、本人の意識とは別に生じるものですし、だれでも少なからず生じるものであります。もっとも、生活実感としてかなりうるさいと感じられる大きな音であれば、一度大家さんから改善をお願いするのも良いかもしれえません。
最後に、ベランダの壁に布団を干してバンバンと布団を叩く音ですね。こちらは、そもそもマンションで禁止されていることですので、大家さんに改善をお願いし、改善しない場合には「他の入居者に迷惑を及ぼす行為」として賃貸借契約の解除をお願いすることもできると思います。
隣人との騒音トラブルに発展してしまうと、お互い感情的になってしまい、解決はなかなか難しくなります。無用なトラブルを避けるためにも、日ごろから隣室への気遣いはお忘れなく!
アディーレ法律事務所
佐藤大和弁護士(東京弁護士会所属)
債務整理、交通事故被害、離婚問題、刑事事件、労働問題など幅広い案件を扱うアディーレ法律事務所に所属。子どもの将来を守るための法教育に注力する一方で、弁護士を身近にするべくテレビ・雑誌などに多数出演。2012年に静岡英和学院大学短期大学部の非常勤講師として学生に教えた民法の講義が好評で、引き続き今年4月より、同校短期大学部の全学年を対象とした「生活と法律」の講義をわかりやく教えている。
公式ブログ「大和魂で行こう!」も更新中。
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