忘年会シーズン到来…「タクシー内で嘔吐」した場合に法的な責任は発生する?
■タクシー側の「逸失利益」を賠償しなければならない
そこで、その賠償にあたるのが「逸失利益」によるものです。
「逸失利益」とは、「本来であれば得られるはずだった利益」が得られない場合にそれを損害として賠償請求の対象とする概念をいいます。
ですから、嘔吐したことによって、タクシー会社が本来得られたであろう利益を損なったか否か、という観点から考えることになります。
タクシーの座席を嘔吐によって汚損してしまった場合、そのタクシーが座席交換ないしクリーニングを終えるまで、他の乗客を乗せることはできず、タクシーとしての営業ができなくなってしまうことは、社会通念上相当のことと言えます。
とすると、理屈としては、このタクシーが稼働できなかった間に得られるべき利益を、逸失利益として損害賠償請求することはできると言いやすいのではないでしょうか。
■タクシー側には全く責任がない?
もっとも、逸失利益の存在は、請求をする側に立証責任が課せられます。その場合、その汚損したタクシーが稼働するはずであったこと、それによって得られた利益の具体的金額を含めて立証する必要が出てきます。