弁護士に対する名誉毀損が成立し損害賠償命令が…「スラップ訴訟」とは何か?
などと伊藤氏を非難しながら、裁判においては、自分が投稿した記事が「真実であること」について、何ら主張立証をしなかったそうです。
名誉毀損とは、不特定多数に向けて、人の社会的評価を低下させるに足る事実を摘示(または、意見ないし論評を表明)することです。
しかしながら、摘示された事柄(意見ないし論評の表明の場合は、前提とされた事柄)が、
(1)公共の利害に関わる事実であること
(2)専ら公益を図る目的であったこと
(3)真実であること(または真実であると信じたことに相当の理由があること)
という要件を満たす(と表現者が主張立証した)場合には、違法性が阻却され、名誉毀損は成立しません。
これは、一定の要件を満たす場合には、名誉毀損にあたる表現であっても法的な責任を負わないとすることで、「表現の自由」の保障と、表現によって人格権(名誉権)を侵害された者の救済とのバランスを図ったもの、と理解されています。
しかるに、名誉毀損にあたる表現について池田氏が「真実であること」を主張も立証もしなかったということであれば、違法性が阻却されることはなく、名誉毀損が成立するということになりますね。
*著者:弁護士 櫻町直樹(パロス法律事務所。