捨て猫を飼ってたら元の飼い主が現れた…所有者はどっち?
(伊東弁護士)
まず、法的には猫は家畜ではありません。法律では「ペット」を定義しておらず、「物」として扱います。このことから、このケースで所有権について根拠となるのは動物に関する法律ではなく、遺失物法ということになります。
「猫に限った話ではありませんが、拾った物を遺失物として警察に届け出たが遺失者が分からない。そんな場合には、警察が公告の手続をとり、3カ月以内に所有者が判明しなければ拾得者が所有権を取得できます(民法240条、遺失物法)。
この手続をとっていれば、数年後に元の飼い主が現れても、所有権は現飼い主にあるといえます」(伊東弁護士)
この手続を取っていなかった場合は、所有権は元飼い主のままと考えることができます。ただし、所有権の時効取得を定めた民法162条にもとづき、現飼い主が所有権を取得できる可能性もあるそうです。
しかし、民法162条には「20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有」、「10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と、善意無過失で他人の物の占有を開始」などの条件があるため、このケースで考えるとあまり現実的ではありません。
実際には、遺失物の手続きをとっていれば所有権は現飼い主、とっていなければ所有権は元飼い主ということになりそうですが、解釈が難しいところです。