【新刊】デヴィッド・ボウイに始まるポップ・ミュージックとSFの融合を徹底検証!『ストレンジ・スターズ -デヴィッド・ボウイ、ポップ・ミュージック、そしてSFが激発した十年-』(ジェイソン・ヘラー 著 伊泉龍一 訳 駒草出版)
とポップ・ミュージックを、言葉やサウンド、この世ならざるイメージを使って創造可能なものの展望を拡張するために互いに頼り合っていた「並行勢力」として捉え直しました。
そして崇拝されているミュージシャンたちの一世代全体を、ヘラーはサイエンス・フィクションに夢中になった<魔法使いたち>として描き出します。
例えば、カリフォルニア大学バークリー校で宇宙の中の黒人について講義を行うサン・ラー、アポロ11号の月面着陸のBBCの番組で即興ライブを行うピンク・フロイド、「紫がかった霞」を抽出するジミ・ヘンドリクス、『スター・ウォーズ』の波に乗ったディスコ・チャートのトップ、シンセサイザーを巧みに操るポストパンク……。
当時のミュージックシーンには多くの<魔法使いたち>があふれていたのです。
現在のコミコン(ComicCon)への熱狂、スーパーヒーローたちの大ヒット映画、古典的なサイファイのリブートなどといったカルチャーシーンを見て、奇妙なオタク趣味に打ち込む変人たちがやっと認められたのだ、と考える方もいるかもしれません。しかし本書『ストレンジ・スターズ』を読むことで、比類なき創造性——雑誌、小説、映画、レコード、コンサートの中での創造性——に満ちた時代を生き返らせ、そうした変人たちはいままでもずっと<勝利>し続けてきたのだ、ということが明らかになるでしょう。