串田和美が運命に立ち向かうリアに挑む。『KING LEAR -キング・リア-』まつもと市民芸術館にて開幕。
シェイクスピアの4大悲劇の一つで、数々の名優たちがタイトルロールを演じてきた『リア王』を、まつもと市民芸術館が『KING LEAR ―キング・リアー』のタイトルで上演。シェイクスピア劇の若きスペシャリストである木村龍之介が演出し、主人公のリア王は串田和美が、実に45年ぶりに演じるという。まつもと市民芸術館小ホールでの、濃密で贅沢な公演のゲネプロ・レポートをお届けする。
防災シートで作られた銀色の紗幕の向こうで、立ち尽くす王。「世界滅びあなたは揺れて…」とソプラノ歌手の歌声が響き、王の手前では人々がゆっくりとうごめく。歌声に銃声や爆撃音が重なり、彼らが「逃げまどう人々」であることが明らかになると、場内にはリアルな緊迫感が充満。紗幕は血の色の照明を浴びせられる…。
シェイクスピア劇を現代の視点で捉えた演出に定評のある木村龍之介らしい、“まさに今、世界で起こっていること”を想起せずにはいられないプロローグを経て、本編はスタート。
リア王の宮殿・大広間に集まった人々が談笑し、場内の空気は先ほどとは打って変わって和やかだ。
上機嫌の老王は娘たちへの領土の分割を宣言し、上の2人の娘ゴネリルとリーガンは王への愛を語るが、末娘のコーディリアはリップサービスを拒否。