ミステリアスな絵画が印象的なイギリスが誇る現代の画家 ピーター・ドイグの日本での初個展
第1章の作品は、自然の中にいる人物が描かれている絵画が中心ですが、多くの人物は「山の風景のなかの人物」のように、人とわかるもののかなり変形されていて、ミステリアスです。
「山の風景のなかの人物(アイ・ラブ・ユー、ビッグ・ダミー)Figure in a mountain landscape (I Love You Big Dummie)」1999年
海辺の様子も、人物はいるのに、生きている人というより、少し亡霊みたいな奇妙な気持ちになります。左の船に乗った人の絵は、水面に写って、上下が対象なのに、人は写っていなくて、不思議。この絵を見たときはマーク・ロスコを思い出しました。
左「スピアー・フィッシングSpearfishing」 2013、右「夜の水浴者たちNight Bathers」2019
この2枚の展示は、色のコントラストが印象的でした。左の「夜のスタジオ」の床の赤と右の「ピンポン」のラケットの赤、ふたつの作品ともに人物が描かれていますが、顔はぼんやり。はっきりしているのに、人はぼんやりしている、それは、人の心はわからないんだ、という言っているように思えました。