2011年11月14日 10:38
恐怖のウィルスより“恐ろしい存在”とは? 監督が語る映画『コンテイジョン』
ネットの普及によって、正しい情報と誤った情報が混在して拡散してしまう事態は、ウィルスの発生時だけでなく日々起こっており、場合によってはデマを広げ、暴動を誘発し、市況の暴落やバブル状態を引き起こす。「私が不思議だと思うのは、多くの人が経験的に、ネット上の情報が事実ではなかったり、歪んだ情報だったりするとわかっているにも関わらず、自分に直接関係のないことは意外にも信じてしまうことです」。
本作では、多くの人が自身や愛する家族の生存をかけて情報を収集し、奔走する。そこで人はジレンマに陥ることもある。「“公平さ”は全員がひとつのルールに従うときにはじめて達成されますから、複数のルールが発生した時に人は怒りを覚えるでしょう。映画の中である人物が重要な情報を知り、自分の大事な人にだけその情報を渡してしまう場面がありますが、多くの観客は彼が問題だとわかると同時に、彼がそうする理由もわかるでしょう。もしかしたら自分も同じことをしてしまうと思うかもしれない。それは複雑なものです」。
ソダーバーグ監督が「これまでのウィルスを扱った映画と同じものにしたくなかった」と語る通り、『コンテイジョン』は、正誤不明な情報と、それによって引き起こされる不安や恐怖が広がった時に、人間がどのようにしてその事態に冷静さと公平さをもって向き合うことができるのかを描いた作品に仕上がっている。
『コンテイジョン』
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