「今回強かったのは、僕と監督は、今後そんなにたくさんの映画を撮れないだろうなって感じたことと、「日本映画界にはこういう監督さんがいらっしゃるよ」ってことを新しいスタッフに知ってもらわなきゃいけない、そういう役目が俺にはあるんじゃないかなと思ったんです」。本作で高倉は、田中裕子、大滝秀治、ビートたけしら過去に共演歴のある俳優たちだけでなく、浅野忠信や綾瀬はるから若い俳優たちとも共演した。「やっぱり、仕事をするってことは新しい人と出会うってことだから。“出会う”ってことはいいよね」。
デビューから半世紀以上、映画界の最前線で演じ続ける高倉にとって、演技とは“想いを伝える”こと。それは妻への想いを抱えて日本を横断する本作の主人公とも重なる。「俳優が作られた話を演じて、他の人と比べて高いお金をもらっているのは、やっぱり想いを伝えるってことだからだよね。だからそのとき、なにか夢中になってやれるもの、それは自分がもらった役なんだけど、そうだよなって共感して演じられる、そういう気分のときじゃなくては、いいものにはならないんだよね」。
亡き妻の想いと、自身の妻への想いを抱えて、長い旅を続けた主人公・倉島は、旅路の果てに何を見つけたのか? 映画『あなたへ』は、6年ぶりに高倉が観客に伝えたい“想い”がつまった作品に仕上がっている。
『あなたへ』
8月25日(土)公開
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