核は、リアルに描かかれた共感できる人物が、信じられないような状況に放り込まれるというところにある。そういう物語には往々にして共通のテーマが潜んでいるんだ」。エイブラムスは観客を惹きつけ、驚かせ、考えさせるが、その先には必ず普遍的な人間ドラマを用意している。
アメリカで放映されるテレビドラマは、人気が出なければ即刻、打ち切りになるシビアな世界だ。しかしエイブラムスは「今はテレビの黄金期だと思っている」と語る。「映画よりもテレビでのほうが面白いものが見られる。映画でもオリジナリティを打ち出したいところだけど、10年前と比べると続編や、リメイク、リブートではない映画の数が格段に減っているだろ? テレビがメディアとして劣等であるという偏見もなくなってきているので脚本家や監督や俳優たちが流れ込んできているし、独創性に富んだ、エッジの利いたものがどんどん出てきている」。
もちろん、エイブラムスはドラマの世界に安住しない。
映画界ではあえて“相手の流儀”で勝負するべくTVドラマ『スパイ大作戦』の設定を活かした『M:i:III』で映画監督デビューを飾り、現在は人気シリーズをリブートさせた『スター・トレック2』の編集中だ。