先ごろこの世を去った名優フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の主演作『誰よりも狙われた男』が17日(金)から公開される。本作は現代の諜報戦をリアルに描いた作品で、緊迫感あふれる物語と作品の奥深さが、現在も取材を続けるジャーナリストや学者たちを魅了している。
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本作の原作小説を執筆したジョン・ル・カレはかつて英国の秘密諜報部(MI6)に所属しており、当時の経験を生かしてスパイ小説の傑作を次々に発表してきた。本作では、ドイツのハンブルクにあるテロ対策チームに所属する主人公ギュンター・バッハマンが、密入国したイッサという若者をあえて“泳がせる”ことで、テロリストに資金提供している大物を狙う計画を立てるが、イッサの弁護士やイッサが接触する銀行の経営者、CIAなど様々な勢力が参入したことで、予想外の事態に巻き込まれる様を描いている。
アメリカ同時多発テロ以降、世界情勢はさらに緊迫し、複数の勢力が様々な事情、歴史的な遺恨、利益の分配、宗教的な対立などを巡って壮絶な駆け引きを繰り広げている。その結果、諜報活動も複雑さを増しており、本作でも単純な“善悪”ではくくることができないドラマが描かれる。