くらし情報『華やかなセレモニーに隠された「批判への配慮」』

2015年2月23日 16:11

華やかなセレモニーに隠された「批判への配慮」

もちろん、楽曲のすばらしさが純粋に評価された結果だが、前述の“異議”を鑑みると、「アカデミー側が、批判に配慮したのではないか」と勘繰られても仕方がないかもしれない。

米国内に根強く残る人種問題に加えて、外国語映画賞が発表される際には「今、世界は文化や宗教、国籍によって分断されている」(プレゼンターのキウェテル・イジョフォー)、「でも、映画館という空間なら私は一つになれる」(同じくプレゼンターのニコール・キッドマン)と複雑化する国際情勢に対するメッセージもあった。

映画は、時代を映し出す鏡。アカデミー賞もまた例外ではなく、多様性が尊重されるべき現代社会からは逃れられないのだ。全米で大ヒットを記録し、作品賞をはじめ6部門にノミネートされていた『アメリカン・スナイパー』が、音響編集賞のみの受賞で終わったことも暗示的である。

第87回アカデミー授賞式
2月23日夜9時から、WOWOWプライムでリポート放送(字幕放送)

文:内田 涼

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