松たか子、激動のラブストーリーで「恋して迷う、普通の女性を演じたい」
と初演を踏まえての自らの変化に期待をかける。それぞれ心に痛みを抱え、不器用に惹かれ合うジェーンとロチェスター。初演では、荒野を背景とした舞台に生の力強さをみなぎらせて立つ、ふたりの確かな存在感に圧倒された。
「ジェーンは完璧な女性ではなく、気が強くて頑なところも持っている人。普通に迷いながら生きている、そんな人間的なところも表現できたらと思っていました。でもそれは、ロチェスターやほかの登場人物と対峙して発見できたこと。人との出会いで成長していくジェーンに共感しますね」と松。一方、ロチェスターを「女性から見たら大ひんしゅくな男」と笑う橋本は、「背徳の愛に苦しんで危険を冒そうとする。
しかもその苦悩を自分ひとりで耐えきれず、ジェーンにさらけ出すんですよ。男の弱さをみせるキャラクターですよね。その弱さにジェーンは手をさしのべる。女性は男性とは違う種類の愛を持っているのかな?」。橋本の疑問を受けて、松が「それは恋をしているから」と限りなくシンプルに、鮮やかな答えを繰り出した。「ロチェスターに出会って、ジェーンは理屈じゃ整理できない気持ちに陥った。苦しみながら生きる人に親近感を抱くところもあったかもしれません。