おばあちゃんはアンドロイド!? キャラメルボックスが贈る名作短編
そして胸いっぱいに広がる感動。1990年の初演以来、再演を重ねてきた人気作であることを、改めて実感させられる仕上がりを見せた。
アンドロイドが担うのが、“母親”ではなく、“おばあちゃん”であることがこの作品の大きなポイントだろう。実際に子供を産んだ母親にはなれないが、おばあちゃんにならなれるかもしれない。しかも母親(もしくは父親)には、子供にとって近過ぎる存在ゆえ、分からないことや出来ないことがある。そういった意味でもおばあちゃんというのは、絶妙な距離にいながら、絶対的な安心感を与えてくれる存在なのだ。だがそんなおばあちゃんも、クリコにとってはただのアンドロイド。それでもおばあちゃんが発した一言は、確実にクリコを、そして柿本家を救うきっかけとなる。
さらにその言葉は、観ているこちらの心にも、深く、じんわりと沁み込んでいくのである。
キャスト総入れ替えで上演される、今回の『広くて~』。それだけにチームごとの色合いはまったく異なるはずであり、その変化を見比べるのも楽しみのひとつと言える。なおこの日観劇したのは、坂口理恵、阿部丈二らが出演する“Slope(スロープ)Cast”。ほかに大森美紀子、西川浩幸らによる“Forest(フォレスト)