新国立劇場が贈るバレエ『シンデレラ』で過ごす、夢のクリスマス!
今年、東京・新国立劇場 オペラハウスのクリスマスシーズンは、アシュトン版の『シンデレラ』を上演中だ。数多くの演出家に愛され、あらゆる改訂版が存在する作品だが、シンデレラストーリーの王道といわれるのが、この英国の名振付家フレデリック・アシュトンのバージョンである。プロコフィエフの甘く美しい旋律が織りなす、グランドバレエの傑作を堪能した。
新国立劇場バレエ『シンデレラ』チケット情報
初日を務めたのは福岡雄大と小野絢子のペア。小野は冒頭から愛らしく、上半身はしなやかに、足元は小刻みの特徴的な動きと物語性のあるマイムを駆使し、舞台を充実させていた。アシュトン版ではすでに継母は亡くなっていて、意地悪な姉ふたりに男性ダンサーを起用し、気の強い上の姉を山本隆之、やや気の弱い下の姉を高橋一輝が演じており、普段はダンスール・ノーブルの山本からは考えられないような、大胆なメイクと派手な動きに観客も大いに笑って楽しんでいた。秋の精を演じた長田佳世は、正確な動きの上にもうひとつ優しい意味を含ませたような表現をかぶせ、ひと際印象的であった。また、魔法を掛けられたシンデレラが銀色の豪華な馬車に乗って舞台を駆け抜けた第1幕のラストは、おとぎ話が現実の風景となり、気持ちが高揚せずにはいられない。