ベストセラー作家・東野圭吾の同名短編小説を舞台化した『あるジーサンに線香を』が昨年4月に行われた初演が好評につき、早くも再演される。そのツアー初日の亀戸公演を前に、ゲネプロと囲み会見が行われた。亀戸公演の後、福島県の南相馬市を含む3都市での上演を経て再び東京に戻り、11月29日(金)より博品館劇場で上演される。
『あるジーサンに線香を』チケット情報
世界的ベストセラー小説をもじったタイトルだが「あるジーサン~」の主人公も、とある人体実験の被験者。妻に先立たれた87歳の元会社経営者・佐川照男(モト冬樹)は、入院中の病院の医師に若返りの実験に協力してほしいと頼まれる。照男にしか見えない亡き妻・扶美(山本陽子)が止めるのも聞かず、彼は実験の承諾書にサイン。手術は成功し、早くも一週間後に60代に。その後もハイスピードで40代、20代と若返っていく。
見た目とともに心も若くなり、歌手を目指す若い娘・千春(松原夏海)らとの恋も経験するが、ついに恐れていた“老化”というリバウンドが始まり……。
大きな見どころはやはり、60代から20代までを逆行して演じ分けるモト冬樹の変幻自在な姿だろう。歩くのもやっとな87歳のヨボヨボな老人、若返りに成功するもとまどいの中にいる60代、恋の喜びを知る男盛りの40代、側転して登場しイマドキの言葉を話す20歳の若者まで、一幕の約1時間で4段階を見事に演じ分ける。