数々の傑作を遺したベジャールだが、「モーリスはこの作品を、“ダンスによるコンサート”だと言っていました。ここには特別なドラマトゥルギーやドラマ性は反映されません。モーリスの作品の中で、これは、音楽に奉仕するバレエ、音楽的な作品として位置づけられるものです」と説く。
東京バレエ団がまず取り組んでいるのは、第一楽章。“闘争”がテーマというこの楽章をまず東京バレエ団が踊り、「その後、すべての楽章で、私たちのカンパニーと東京バレエ団を融合させていきたい。11月の公演までまだ時間があるので、それぞれのダンサーの適性を見極めながら、最終的に、作品の中にふたつのカンパニーをより融和させた形にもっていけたら、と考えています」。
今回の公演では、東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団、さらにズービン・メータ指揮によるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏という、稀に見る豪華共演が実現する。メータについては「とても尊敬しています。
ベジャール作品に深い理解を持たれていたことがとても印象的で、その音楽性を賞賛されていました」。世界的マエストロとバレエの、またとないコラボレーションに期待が高まる。
11月の東京での公演ののち、上海公演のほか、来年にはヨーロッパツアーの計画が進行中という。