「これまでいくつかの『ロミオとジュリエット』の舞台を観てきたけれど、いつも疑問点があって。それを今度の舞台でクリアしたいんです」。そう語る彼が、勝負を賭けて作り上げたいジュリエット像とは……。
「一番の疑問点は、ジュリエットは本当に純粋なのかということ。親が決めたとはいえ、婚約者がいながらロミオのもとにいってしまうのは、まったくの純粋とは言えないんじゃないかと思うんですね。ジュリエットのかすかな不純さを出していくほうが、物語の真実に近づけるような気がします。演出家と相談して、自分が考える『ロミオとジュリエット』を見せられればいいなと」
俳優として活動する前は演歌歌手だったが、一時は芸能の世界から身を引こうと決意し、蜷川に相談。そこで引き止めてもらえたことで、再び表現者としての自身の可能性を探り始めたという。
「やるからには誰にも負けない何かを作ろう、そう考えた時に、娘役を極めようと思ったんです」。
以降、出演作の3分の2は娘役として活躍。中でもオールメールの舞台は「特別なシリーズ」と心に置いている。娘役を演じるうえでの信念は「まず、絶対的に美しいこと。そして必ず芯が通っていること」。