ケリーが表現した1950年代の演技スタイルではなく、今の僕のスタイルで伝える物語を…と考えて取り組みました」
リスペクトを込めて映画全体から醸し出される匂いやフィーリングはそのままに、ドラマを膨らませる新たなシーンを挿入し、新ナンバーも2曲追加されている。「振付も、かつての時代のチャーミングな部分はキープしつつ、スピード感のアップした現代の踊りになっている」と自信のほどを語る。その振付で注目すべきは、ドンが名曲『SINGIN’ IN THE RAIN』を歌い踊るおなじみの雨のシーンだ。クーパーが軽やかなステップで蹴り上げた水を、前方の観客は歓声で受けとめることになる。
「振付のアンドリュー・ライトはつねに俳優の意見を聞いてコラボレーションしていくスタイルなので、あのシーンに関しては僕が試してみせたステップがそのまま採用されています。客席に向けて雨を蹴るのはアンドリューの発想だけど、どこまでお客さんを濡らせるかは僕の踊り方次第(笑)。ただ重要なのは、ここはひとりの男性の喜びを表現したシーンだということ。単に楽しむのではなく、ドンの喜びを感じ取ってもらえるように演じています」
観客とのやりとりを彼自身も「なかなかできないユニークな経験」