だが再演に際しては、「ただ初演をなぞるのではなく、初演の続きをやらせてもらう気持ち」と吹越は話す。太田も「初演は本番中から千秋楽の打ち上げまで、3人で毎日“ここはこうしたらいいのでは”と意見を言い合っていました。だからそこで気になっていたことを、こうして再演でやれるのが幸せですね」と語る。森山もうなずきながら、「初演の時はフランソワが素の自分に入り込んできて、稽古帰りの電車のホームでは劇中と同じ感覚になることがよくありました」と、本作が特別な存在になっていることを明かす。
再演の稽古場でも3人の“生みの苦しみ”は続いている様子だったが、吹越は今回、パリの日本文化会館で初日を迎えることをあえて選んだという(パリ公演は10月上旬に好評を得て終了)。「ただ、パリ公演を終えたら、今度は東京公演のためにまた作り直すつもり。さすがに一からではないけどね」と笑う吹越を見て、「なんてストイックな人だろうと感動します(笑)」と言いつつ、揺るぎない信頼を寄せている表情の太田。森山が「フランソワはゲイですけど、意外とフツーなんですよ。
おかしいのは(吹越演じる)デイヴィッドのほうかも」と現実と登場人物を混ぜて話すと、ふたりが笑いだすひと幕も。