出会い、デート後の彼女の部屋、浮気の告白、プロポーズ――様々な人生のシチュエーションで、出てくる言葉がほんの少し違うだけで未来が大きく変わっていくことをふたりは体現し、物語は進んでいく。
シーンを終えると鈴木と浦井は小川を交え、演じての感覚や抱えているモヤモヤを吐き出す。小川が繰り返し指示するのは、毎回“強いエネルギー”を持ってリピートのシーンに入ることで、小川曰く「移動している電車から、走っている車に飛び移る」作業。「ふたりで劇場を動かすエネルギーが必要」と途切れることのない熱量を要求する。
そしてもうひとつ、小川が徹底するのは「自由」。少し会話のテンポやリズムが狂えば、それは相手にも影響し、全体の歯車を狂わすことにもなるが、小川は「芝居が始まれば、出てきたものが“正解”だから大丈夫。起きてること、見えてるものに意識を移して!」と語る。その言葉を胸に、鈴木も浦井も自信を持って演じていることが伝わってくる。
ある時は他人、ある時は恋人、またある時は…と毎回異なる距離感を、鈴木も浦井も巧みに表現。小さなシーンの繰り返しと積み重ねによるマリアンとローランドの人生が、不思議とスリリングに迫ってくる。
東京・新国立劇場にて12月3日(水)より上演。
撮影・取材・原稿:黒豆直樹
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