また五右衛門には、古典歌舞伎『楼門五三桐』(さんもんごさんのきり)に、京都・南禅寺にある山門での「絶景かな、絶景かな」という名ぜりふがある。このせりふを海老蔵は、劇中でなんと2回も登場させると言う。「歌舞伎の『絶景かな』というのは、あくまで様式美なんですよね。でも実はそこに五右衛門の精神性が込められていて。今回はさらにその上をいく『絶景かな』をつくるべきだなと。それまでのドラマによって、見えていたはずのものが変わって見える瞬間。その2度目の『絶景かな』を、中国大陸のどこかで実現させようと思っています」。
舞台機構や演出でも、よりダイナミックな作品になると意気込む海老蔵。
しかしひとつ残念な事実もある。「父(十二世市川團十郎)がいないのはやっぱり惜しまれますね。でも今回は父が演じた秀吉役を、市川右近さんが勤めてくださる。相当プレッシャーには感じていらっしゃると思いますが、右近さんが今持っていらっしゃる秀吉像を真っ直ぐ演じていただくことが、一番素敵なことじゃないかと思います」。海老蔵が贈る、新年にふさわしい豪華な演目。「皆さんの2014年の埃が落ちるよう、また2015年が無病息災で過ごせるような気迫でやれればと思います」。
公演は1月2日(金)から25日(日)まで。チケット発売中。
取材・文:野上瑠美子
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