家族や愛する人など、命をかけて守るものがある人間の強さには、単純に憧れますね」。また、ヒットラー役を務める高橋も、「負の部分を含め、自分をはるかに越える大きさを持つ人間を演じるのはハードルが高い」と言いながらも、「愛するとか怒るとか、直接的な人と人との関わりがきちんと描かれている作品。バックグラウンドがわからなくても、感じるものはあると思います」と意気込む。
物語の背景には、戦争、民族、宗教といったものが入り組んでいる。が、「こういう作品に携わって、過去を学び伝えていけるのが、役者をやっててよかったと思える瞬間。お客様にとってもいろんなことを考えるきっかけになれば嬉しい」と松下が言えば、高橋も、「自分でどうすることもできない大きな何かによって時代が動いているのは今も同じ」と、今に通じるものがあると訴える。さらには、「決して人ごとにはできない作品だなと感じます。栗山さんの緻密な演出は、気づいたら物語に入り込ませてくれると思いますし。
何か考えるきっかけになる作品になれば、と思っています」と成河。見せたいのは歴史ではなく人間。3人のその思いは、力強い舞台を誕生させるだろう。
舞台は6月3日(水)