そんないい意味での“裏切り”の最たる例が小林が演じる厳格な父のアーサー。正義を重んじ、子どもたちにも礼節と勤勉さを求める強権的な頑固オヤジといったところだが、その堅苦しさが逆にチャーミング!長女の婚約者との会話――すなわちオヤジとムコ殿の“対決”では、ふたりの緊張や気詰まりな雰囲気がひしひしと伝わってきてクスリとさせられる一方で、無実を訴える息子の言葉を受け止める芝居ではホロリとさせられる。竹下が演じる母・グレイスは子どもたちを包み込む無償の愛情にあふれており、このふたりが演じる両親だからこそ、この子どもたちが育った――短いやり取りの中からも説得力をもって家族の姿が浮かび上がってくる。
一家に関わる人物もみな個性的だが、特に異彩を放つのが中村の演じる弁護士サー・ロバート・モートン。心の内の読めない男を中村が低い声と独特の存在感で好演しており、物語の鍵を握ると共に、テーマである“正義”についても、彼なりの答えを示している。会話劇を楽しみ、事件の行方にハラハラさせられつつ、100年以上前の家族の姿が現代に生きる我々に正義の在り方を問いかける。公演は4月9日(木)から26日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて。チケット発売中。
取材・文:黒豆直樹
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