「愛するから血を流す」家族を描いた傑作に田中圭が挑む
さらに、オニール自身でもある満島真之介演じる弟のエドマンドとの応酬は見どころだ。両親の愛や、才能に対する嫉妬を弟に直球でぶつけていく。「嫉妬は激しいけれど、弟をとても愛している。愛すれば愛するほど自分が惨めになっていくんです。人を愛するということは自分自身も血を流している。愛しているからこそ、身を引いたり、痛みを伴ったりするんですよね」
ノーベル文学賞を受賞したオニールが、今作で4度目のピュリツアー賞を獲得した傑作。満島は「神秘的な美しさがあり作品を悲劇だとは捉えていない」と語っていたが、田中も同感だ。「簡単に言えば家族喧嘩の話。
でも根本には愛がある。喧嘩ばかりでそこまで文句を言うなら、別々に暮らせばいい。それでも一緒にいる理由、家族の持つ意味は何だろうと考えます。オニールもこの戯曲を書いたからこそ救われた。それがなければ救われていなかったと思う。だから悲劇とは思えないんです」
かつて同作が上演された際は、笑いも起きていた。「シリアスなものをシリアスだけで演じてもつまらない。ちょっとぬける場面もあり、見方を変えれば笑えるようにもしたい」と意気込む。
「僕ら4人が家族となって生きた後、改めてどんな感情が生まれるのか。