誰に向けて発信してるんだろう、とか。だから鹿殺しみたいな、純粋に内から出るものを評価してくれる空間って、すごく大事だなと思うんです」
そんな大東の言葉を聞いて、どこか安心したような表情を見せるのは演出家・菜月チョビ。
菜月「今回は15周年の節目ということもあって『舞台裏の話』にしようかと。上演する人の生身の姿と一緒に、俳優たちだけじゃない“作っている人たち”全員の裏側が透けて見える。そんな作品になると思います。大東君に演じてもらうのは作家。多分、丸尾が一番自分を投影するであろう役です(笑)」
大東にとって、このクラスの「劇団公演」への参加は初体験。
菜月「うちは稽古場に作家がいるし、みんなで演出を考えていく場面も多いから、意見が割れてどうしても譲れない時は2種類稽古したり。
だから役者(さん)カットの負担は大きいし、ゲストというより『一緒に作品を作る人』という感じになる」
大東「でも、鹿殺しだからできること、鹿殺ししかできないことはあって。俺もここでしかできないことはきっとあるし、それは“お客さん”じゃできないだろうな、というのは思ってます」
芝居作りも、生き方も、“スマート”になりきれない…そんな話で意気投合する2人。