それがいのうえさんの演出で、つかさんのお嬢さんと一緒にできるなんて……」と感無量の様子。
つかの愛娘、元宝塚歌劇団トップ娘役の愛原実花が婦人警官役を演じるとは、ふたりにとって “奇跡”のような巡り合わせだろう。初めて父の作品に取り組むという愛原。つかについて聞かれると「見守ってくれているんじゃないかなと思う。甘えは許されない、という強い思いでお稽古に入りました」と謙虚に話す。犯人の大山金太郎役を演じる若手実力派の中尾明慶も、役作りのために頭を丸刈りにし、気合い十分。「つかさんが生きてらしたら『お前はもう帰れ』と言われそうですが(笑)、この役をしっかり自分のものにしたい」と抱負を語った。
東京公演は、同作のホームグラウンドともいえる紀伊國屋ホールでの上演だ。
70年代、80年代の、連日満席の熱気溢れる劇場の様子が偲ばれる。「つかさんはこの作品をいろんなバージョンで上演されましたが、僕には、『熱海』は僕たちがやったものが正解だという変な自負心、ちょっとした嫉妬心もあって、その後はあまり観ていなかったんです。この劇場でやれて、感慨もひとしおです」(風間)。
12月26日(木)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演中。