美紀さんは英語もフランス語も堪能で、考え方もすごく現代的。それと同時に、日本の伝統に対しても深いつながりを持っていて、そのことは彼女の作品すべてから感じられます。探求し続ける真のアーティストである美紀さんと一緒に、初演以上に記憶に残るパフォーマンスを伝えることを目指しています」
再演に向けて、初演とは異なるさまざまなアプローチを試したという。実際の舞台では、演じる中谷の背面後方にプロトーが位置しているが、稽古場では両者が対面しての稽古が進められた。「お互いにとってより深く人物を理解するためにやっています。もちろん劇場に入ったらプロトーは後方に戻りますが、美紀さんは彼のパフォーマンスを鮮明に覚えているので、三人の女性が誰に対して手紙を書いているのかが、よりはっきりわかると思います。また、実際の動きは一回忘れて、両者ともに言葉のままに動くという稽古もやってみました。二人のつながりを育てるために。
それは見えないもの、説明のできないものですけれど、そういった感覚が舞台上では魔法を生み出すと私は思います。結果的にふたりとも、以前とは変わりましたから」
美術、音楽など作品自体は初演と同じでも、その日の観客のエネルギーはけして同じではない、とも強調する。