クリスチャン・ヤルヴィが描く、ペルトとライヒの音世界
クリスチャン・ヤルヴィ(写真左)、スティーヴ・ライヒ(右上)、アルヴォ・ペルト(右下)
才能をぎらりと光らせる期待の俊英がオーケストラを刺激する。──5月の東京都交響楽団定期演奏会に登場するクリスチャン・ヤルヴィは、クラシック音楽の常識に安住しない攻めの姿勢を貫く気鋭の指揮者だ。彼は、音楽家揃いのヤルヴィ家から、指揮界の重鎮である父のネーメ・ヤルヴィ、現代の指揮界を牽引する兄のパーヴォ・ヤルヴィに続いて世に出た才能。なかでもクリスチャンは現代音楽の優れた新作を積極的に紹介したり、オーケストラと民族音楽との共演など、領域を超えた挑戦に意欲をみせたりとアグレッシブな活躍をみせる。いま首席指揮者を務めているMDR響(旧・ライプツィヒ放送響)でも独創的なプロジェクトを展開するほか、世界各地のオーケストラへの客演では個性的な選曲で人気を博している。
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そのクリスチャンが指揮する都響定期Bシリーズでも、現代音楽でも特に人気の高いペルトとライヒの傑作が選ばれた。まずヤルヴィ家の故国エストニアが誇る作曲家、昨年80歳を迎えたアルヴォ・ペルトの作品から、《フラトレス》は静謐のなかに中世音楽のエコーが時空を越えて響くような神秘性が聴き手を包む人気作。