今年の春から、監修を務める齋藤孝氏に請われて『にほんごであそぼ』(Eテレ)に出演していることも、その志を後押しした。「むずかしい和歌や俳句を理解する子どもたちに感心するとともに、ユーモアたっぷりの演出もすばらしいと思ったんです。そこで、昔よく歌われた明治時代の歌で、ほんわかした気持ちになっていただければなと思っています」。ほかにも、第一部には、今のお父さん・お母さんの悲哀を歌ったオリジナル曲も登場。そして、『ヨイトマケの唄』でそれでも力強く生きていこうと励ましてくれる。
ラテンやシャンソンの大人の歌で愛の深淵を見せる第二部は、「悲劇の歌もたくさん出てきます。それを聴けば、つらいのは自分だけじゃないとわかるはずです。劣等感や悩み、苦しみ、痛みを持っていない人間はこの世にひとりもいません」と、こちらにも力づける歌を揃える。
第二部の舞台美術には星空を用意した。「宇宙に同じ星がないように、人間もさまざまでいいんです。その自然の法則も感じていただければと思っています」。誰にも生きる価値がある。美輪明宏の歌にはそんな懐深い愛が込められている。
美輪明宏/ロマンティック音楽会2016は9月10日(土)